地球に目を向けると見えてくる
土壌、空気、水、植物、生物・・・地球上のすべてのものは、密接に繋がっています。
生物は植物から創世されました。そして植物は、土壌の成分を吸収して生長します。
土壌の生物は、空気中へ二酸化炭素、メタンガス、亜酸化窒素などを放出する一方で、二酸化炭素、酸素や窒素などを吸収します。土壌の栄養分は、河川を介して海へまで運ばれ、海中生物の生命を支えています。
空気循環、水循環、微生物循環、食物連鎖循環・・・これらの循環の中で、地球上のすべてのものが繋がるのです。
地球という自然に中に、人工的な化学物質を放出すれば、最終的には私たちの体の中に組み込まれてしまいます。
土壌にある汚染物質のダイオキシンは、人間の尿からも同様に検出され、体内にある窒素の半分は、今や化学的な窒素固定によるものと言われています。
環境の悪化、化学物質の摂取により、増加している病気の症状を見てみれば、どのような影響を及ぼすかを容易に想像することはできると思います。
地球に触れることから始まる無農薬・無化学肥料農業
地球が悲鳴を上げれば、時間的な違いはあるものの、微生物、植物、生物、細胞、そして、私たち人間も悲鳴を上げます。
そして、生物に自己治癒力があるように、地球にも自己治癒力が存在します。
自己治癒力を超える病気が起こってしまったとき、地球はどうなってしまうのでしょうか?
私たち人間が治療困難な病気になってしまったときのことを考えれば、容易に想像はつきます。ただし、地球は体が大きいため、その影響力は甚大なものになってしまいます。
地球上の二酸化炭素や窒素は、既に飽和状態を超えています。
数センチしかないオゾン層は、ボロ雑巾のようになっています。
栽培利用可能な20cmに満たない有用土壌は、化学肥料の使用、耕運等により、主要栄養素ばかりでなく、酵素、タンパク質、フィトケミカル(ファイトケミカル)の生成に重要な役割を担う微量元素の溶脱も著しく、有用土壌の侵食も止まりません。
今や50年前の野菜よりも栄養価が半減しているという報告もあり、この報告からも栽培環境が厳しくなっていることを伺いしることができます。
それでも、温暖化対策と言っていながら、一方ではソーラーパネル設置等のために自然を壊す行為が続いています。
更に目先の収穫量を最優先するため、化学肥料等の使用は一向に減っていません。
このままの状況が続くと、有用土壌は100年で無くなってしまうと警告する科学者も出てきています。
地球からのメッセージは、気温、風、湿度、天候、植物の生育や栽培環境など、ありとあらゆる場面で感じることが出来ます。
ただ規模が大きく、変化がゆっくりのため、地球からのメッセージを聞くことは難しいかもしれません。
そんな時、土壌環境を「人間の腸内環境」、地球を「人間自身」、化学肥料を「サプリメント、お菓子等」、農薬を「抗生物質、ステロイド剤等」、洪水、地震、異常気象を「様々な病気」に置き換えることで、地球の諸問題を身近に感じることが出来るようになるのではないでしょうか?
自然を壊す行為は、最終的には自分を粗末にする行為と同じだと認識することが、最初の一歩になります。
私たち農家は、自然のコーディネーターとして、自然力を活用する循環型農業を行うことが急務であり、その第一歩として自然を壊す行為を1つずつ変えて行く必要があると考えています。
過去の文明が滅んだ同じ過ちを再び犯す前に行動しなければなりません。