ラン科植物の特徴
自然界では、ラン科植物の多くは熱帯~亜熱帯地方のジャングルの樹木や川縁の岩などに着生し生息しています。その種子は、とても小さく未成熟な胚のみで胚乳がありません。そのため、自然下では菌類が共生し栄養が供給されることで初めて発芽します。
光合成はほとんど行わないため一生菌類に依存することで生きています。しかも夜間に気孔を開き二酸化炭素を葉に保存し、日中は気孔を閉じ体内にある二酸化炭素と日光で光合成するCAM型なのです。
また、特定の昆虫による受粉を行うため、花の形にも特長があります。左右対称の六枚の花びらで構成されており、中央部にある花被片は、虫が着陸しやすいような形(唇弁、リップといわれている)をした昆虫のヘリポートとして役割を果たしています。 そして、蕊柱の奥に蜜があるため、入口に入れる特定の昆虫のみしか蜜にありつくことができません。これも花粉塊が昆虫の背中にうまく付くように虫の大きさを制限していることもラン科植物の子孫を残すための知恵としてあげられます。
栽培と品種改良
種子より発芽させることは難しいものの、花のある美しさと掛け合わせの容易さから、ラン科植物は多くの人を魅了します。そんなラン科植物の美しさと植物を育てる楽しみを身近に感じていただきたいとの思いからラン科植物の培養に取り組んでいます。
基本のコンセプトは「自然のままに」ですので、あくまでも種子による発芽、花粉による交配を行っています。そして、育てる楽しみと難しさをしていただきたいとの思いから、幼苗の販売のみを行っています。
現在の培養状況現在胡蝶蘭4種類、カトレア3種の計7種類の培養を行っています。
胡蝶蘭としては、白、オレンジ、白+ピンク+赤、紫色+白、カトレアはかけあわせにより花の種類、形は現時点では不明なものもあります。どんな花が咲くのかも、ラン科植物の楽しみの1つでもあります。
各種植物の生育状況とかけ合わせの親花の写真を順次更新してします。
成長が遅い分、育てる楽しみも一入です。
ラン科植物の生育状況
デンドロビウム(交配) dendrobium stratiotes × dendrobium archlpelangensis 緑色(ホルン:白色) × 白色 |
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胡蝶蘭(交配) phalaenopsis × phalaenopsis (白色(唇弁:赤色)) × (白色( 唇弁:オレンジ色)) (2011年6月培養) |
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カトレア(自花受粉) cattleya memorium chrispin rosales × self 赤色(唇弁:紫色)(2012年3月培養) |
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カトレア(交配) cattleya trick or treat × cattleya sibling オレンジ色(唇弁:オレンジ色) |
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カトレア(交配) cattleya Tzeng Wen Beauty “Budai” × cattleya trick or treat (黄色(唇弁:赤色)) × (黄色( 唇弁:オレンジ色)) |
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胡蝶蘭(自花受粉) phalaenopsis taisuco bloody mary × self 赤色(唇弁:赤色) |
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胡蝶蘭(交配) phalaenopsis da-chien spider beaty × phalaenopsis schilleriana sibling (白色(唇弁:赤色)) × (白色( 唇弁:紫色)) |
管理上での注意事項
ラン科植物は、熱帯~亜熱帯地方の原産の植物であるため、乾燥よりは温度管理が重要となります。
特に注意する点は2点。
気温が10℃以下なったときと気温が15-20℃になったときの管理法の違いのみです。その他は、水コケが乾いたら、液体肥料を加えた水を十分に与えるようにしてください。
ただし、自然界ではラン科植物は樹木に着生して暮らしていますので、強い太陽光は苦手としています。直射日光は避けるように管理してください。
そして、気温が10℃以下になると休眠状態となります。
このときに水を沢山あげると根腐れの原因となります。水は1ヶ月に一回程度と、乾燥気味にするのが大切となります。
気温が15-20℃になると、いよいよ目覚めの季節です。
花茎を伸ばし、花を咲かせる準備に入ります。この時期には十分な栄養を必要としますが、ラン科植物は日中は気功を閉じ夕方気功を開き二酸化炭素を蓄えるCAM型光合成をとっており、しかも光合成の能力は低く必要最低限の栄養しか作ることが出来ません。
そのため、自然界では成長に必要な栄養源の多くはラン菌に頼っていますが、私たちの管理下ではそれもままなりませんので、液体肥料を加えた水を与えるようにしてください。
ただし、水はなくべく葉にかけずに根元の水コケに与えるようにしましょう。